何不自由なく育ててくれた人に申し訳ないのだけれど、叔母さんの実の息子である太一がいないのに、姪であるあたしだけがここで一緒に食べている。


この状況が、胸にひっかかるのだ。


「家庭教師って、相手の家にお邪魔するのよね? 大丈夫なの?」


あたしは、矢原のくれたメモを思い出す。


生徒の詳しい情報が記載されておらず、男か女かもわからない。


「大丈夫だよ。もう、(矢原が)相手とも話してきた」


「そうなの……」


「うん。ごちそう様! おにぎり、作っとくね」


「えぇ。いつもありがとう」


あたしは食べ終えた食器を手早く洗ってから、おにぎりを4つ作り始めた。


ほんの少しの罪悪感を抱えながら……。