『今度は私が新しいお母さん。お母さんが可愛がってあげるね〜〜』
軟弱者の耳元で
少女が囁いた。
見たくない見たくない
見たくない見たくない。
なのに目が閉じられない。
やだやだやだ。
くるなくるなくるなくるな。
軟弱者は
視界の端から少女が
自分の眼球を覗くように見ているのを感じ取った。
そしてジリジリと
距離をつめ、
少女の顔が目の前に
くるのを見ていた。
『……ヤ……ダ……。』
少女と
目が合い
軟弱者は
いきをのんだ。
……目が……
そう思った瞬間
彼の視界が
血の世界にそまり
音もなく崩れた。

