アヤカシとキツネさん

「腕を降ろしていいわよ」



「……はぃ…」



着付けなう。

私は今、雅さんに浴衣を着せてもらっています。



淡い生成り色の生地に控え目だけど可憐に牡丹が描かれた素敵な浴衣。

帯は今の流行りなのか、ふわふわとした可愛らしいもの。


私も気に入ったから、文句は無いけれど。


けれども。


ヘアメイクまでされるだなんて――聞いていない(というか聞いていないも何も知らないことだらけだ)。


女中さんが化粧台にズラリと並べている、様々なブランドの化粧品。

明らかに高そう。なんて言うんだろう…ハイブランド?とにかく高そう。


もう一人の女中さんは、ヘアアイロンや髪飾りなどの準備をしていた。



「……………」



私はその様子をうっすら半目で眺めている。



―――帰りたい。