アヤカシとキツネさん

「好みもあるだろうから、いくつか用意したのよ。好きな色や柄はある?」



畳にズラリと並べられた――たくさんの浴衣。



「……えっ…?」



「この向日葵どうかしら?良いと思うのだけど。ねぇ?」



「はい、奥様。お嬢様は色白ですから、そのお色も似合うかと」



「そうよねぇ。あぁでもこの金魚も可愛いし…」



「そちらでしたら、この帯は如何でしょう?」



「いいわねぇ」



「……あ、…あのぅ…?」



私に好みを聞いてくれたんじゃなかった?でしたっけ…?


女中さんと三人で、ワイワイ楽しそうに浴衣を選んでいる雅さん。


……なんていうか、デジャヴ?
蚊帳の外?(完璧に)