アヤカシとキツネさん

その中庭を囲うように、立派な屋敷が建っていた。



「すごい…!」



感嘆の息が洩れる。

キョロキョロ辺りを見回して歩く私がおかしかったのか、クスクスと雅さんが笑う。



いくつか部屋を通り過ぎ、ある部屋に通された。


部屋の中で女中さんが二人、正座をして顔を伏せていた――さ、さっきの二人じゃ、ない…よね…(似ている)…たぶん…。



「じゃあ、始めましょうか」



にっこりと妖艶な笑みを浮かべる雅さん。



―――え?


始めるって……何を?


落ち着いていた心臓がまたバクバクと激しく跳ねる。