アヤカシとキツネさん

また長い廊下を歩く。



「……あの…世羅さんは、家は無くても良いって…」



「そう。世羅はまだ若いからかしらね。それに狐は毛皮があるでしょう?」



「はぁ…(毛皮…)」



「私達はこの姿―つまり人型―でいることが多いし、こちらの生活に慣れているから、住居があったほうが便利なのよ」



「なるほど…」



納得していると、光りが差し込み、外が見えてきた。


歩いていたのはどうやら縁側だったらしい。



「うわあ…!」



桜や松などの木々、生け垣、石灯籠、鯉が泳ぐ大きな池――広くて美しい中庭が、そこにあった。