アヤカシとキツネさん

先程の弦さんのように膝をついて静かに戸を開けた女中さん。


先に行った雅さんに促されて、その戸の先へ足を踏み出す――と、キィンと耳鳴りがして、身体が揺れた。




「……ッ…あ、れ?」




この、感覚、どこかで――?




ふらついた私の背中を女中さんが支えてくれた。



「大丈夫かしら?ごめんなさいね、ちゃんと言わなくて。ここから――こちらの世界なのよ」



「……あ…」




そうだ。


前に世羅さんと鳥居をくぐった時の――感覚だ。


世界が変わる瞬間にはまだまだ――慣れない。