アヤカシとキツネさん

踵を返して奥に歩き出した雅様の後ろを、なるべく気配を消してそろりとついていく。

本当に千歳くんは一緒にきてくれないのか!?と後ろを見れば、弦さんがニタリと笑って戸を閉めた――断絶。


ヒクリと顔がひきつった。



「聞いていた通り、若くて可愛らしい子ね。世羅の坊やを助けたんですって?」



「――ッ!?」



雅様の言葉を反芻して、息が詰まった。



可愛いと言われたこと。


世羅さんを坊やと呼んだこと。



今日は本当に驚きっぱなしである。