アヤカシとキツネさん

怯える私に気を遣って、そう言ってくれたんだろう。



狐も天狗も優しいなぁ…



って、そうだけど、違う。



“慣れている”


それは、客として接した人間ではなく、私のようにアヤカシが視えた人間のこと――なのだろうか?



「――憂」



「ッ、は、はい…!」



深みのある声で、豊様に名を呼ばれた。

ビクリとして声が上擦る。