アヤカシとキツネさん

足を踏み入れれば、お香だろうか、微かにふわりと香る優しい花の匂い。


明る過ぎずやわらかい照明。
壁一面と棚にたくさんの本。
家具も日本らしい物ばかり。


明治っぽい感じというか、大正浪漫というか…?


私の家は洋風だし、西洋の物に囲まれて過ごしているし、大正浪漫もよくわからないけれど、


どことなく懐かしくて落ち着いて――良い雰囲気だと思った。



「豊様、千歳です。こんにちは」



千歳くんが声を掛けた先に――店主が、居た。



「いらっしゃい。よう来たのォ」



少し掠れていて優しい声。



とてつもなくイケメン俺様な天狗様を想像してドキドキしていた私を――欲張った想像するなおバカッ!と叱りたい。


誰か叱り飛ばして下さい。