アヤカシとキツネさん

「礼儀正しい子は好きだよ。――お前さんは、犬派かい?それとも猫派かい?」



スッと細められた目。
にんまりした弧を描く赤い唇。


背中がゾクリと震えた。


“答えを間違えてはいけない”


そう思った。



「……えっ、と…」




どちらが――正解?


弦さんの外見は猫に思える。

だとするならば、猫派?




「狐派だよね」




「――えっ?」



張り詰めた緊張感のなかで響いたのは、鈴のような可愛らしい声――千歳くんの声だ。


千歳くんが、ニコニコ笑って私を見ていた。



「ね?狐派でしょ?」



「あ、はい、狐派です」



頷く。




だって――…