アヤカシとキツネさん

―――――……


どれくらい経っただろうか。

テンションの高い千歳くんに連れられて、裏路地をずいずい歩く。



和風な店構え(どうやら古書店のようだ)が見えてきた。


その店先で掃き掃除をしている女性に――、千歳くんがトテテテッと駆け寄った。



「コンコンこんにちわー!」



千歳くん…?

ほんっとに、どうした…?



「あれまぁ。ちぃちゃん、ご機嫌だねぇ?」



「ご機嫌!憂を連れてきたの!」



「――そう、その子が」



掃き掃除をしていた女性――キリッとしたつり目でスラリとした細身でパンツスタイルが似合う美人さん――に、じいっと見つめられる。



「……はじめまして。憂と申します」



見つめられて緊張した身体をなんとか動かして、挨拶とお辞儀をする。



「あらあら、良い子だこと。あたいは弦(ゆずる)。ただの店門番みたいなものだけれど、よろしくね」



…門番?

店番ってこと?