「お出掛け出来る?戸締まりちゃんとした?泥棒さんっていう悪い人間がいるんでしょ?大丈夫?」



一息で言い切った。


その瞬間に人間に成り切っていて、夏らしい涼しげでスタイリッシュな装い。

張り切っているらしい千歳くんに、戸惑いを隠せません…



「えと…うん、戸締まりしました」



「じゃあ、行こっ!あのね、あのね、豊様(ゆたさま)にね、憂を連れて行くねって言ってあるんだ!」



言うが早いか手を引っ張られて転びそうになるが、何とか前を歩く千歳くんについていく。



「ゆ…ゆたさ…ま?」



「豊(ゆたか)って御名前のね、もうね、すんごい大天狗様なの!」