そしてズダアッ!と駆け出した私に、世羅さんは慌てているようだった。



「えっ…憂さん!?」



しかし、過去(後ろ)は振り返らない。


前(出口)に突き進むのみ!


猛ダッシュで鳥居を目指した。

ひとりでもきっと、帰れる気がするから。



――ふわり、


風に乗って聞き慣れた声が届いた――…



『また、お逢いしましょう』




*****




・狐の親子の会話



「あぁ…行ってしまいましたか…」


「ねえ、父様」


「なんです?」


「ぼく、憂に、母様になってもらいたいなあ」


「……まさか…人の子ですよ」


「じゃあ、ぼくがお嫁さんにする!」


「――寝言は寝て言いなさい」


「……男の嫉妬は醜いんだよ?」


「…お前…そんな言葉を何処で覚えてきたのですか…」


「なーいしょ」