アヤカシとキツネさん

何となく、違う場所に出るのかなあと……思っては、いた。


いたけど――…


実際、こんな…自分が森にいるなんて、考えられない…



「憂さん、大丈夫ですか?こちらへ」



そして、また手をひかれて、歩き出す。



「え…あ…う……ビックリ、です」



狼狽える私を見て、世羅さんがクスリと笑った。



「空気が澄んでいるでしょう」



「……ほんとだ」



ゴミの匂いも排気ガスの匂いも何もしない。

呼吸するのが、心地好い。


サクサクと大地を踏みしめて、ゆっくりと歩く。


あぁ…世羅さんが、私に合わせて歩いてくれているのか。


今になって、気付く。


他人に歩調を合わせてもらったことなんてないから――…わからなかった。


なんだか、むず痒い…
照れくさい…