アヤカシとキツネさん

それはもう丁寧に辞退したのだが、捨てられた仔犬(狐のくせに)のような潤んだ瞳で「どうしても、お嫌ですか…?」と言われたら、もう、流されるしかないのである。



「まだ春先だというのに、憂さんは寒そうな恰好をしていますね。ああ――でも、知っています。制服というやつですよね。集団でよく見掛けます」



「…はぁ…学校指定のセーラー服です…」



キツネと手を繋いで歩いている、現状。


何処へ向かって歩いているのかは、知らない。



――あの時、声を掛けなければ良かったのだろうか?


でも、世羅さんは人間ではないけど、恐そうではない。

良い人の分類に入りそうだ。



そう――きっと、


人間では――ないけれど。