アヤカシとキツネさん

キツネが正座をしたままなので、私もしゃがんだまま、キツネを見ていた。



「私は世羅(せら)と申します。先程は助けていただいて…心から、感謝します」



「……憂(うい)です」



「憂さん。本当に有難う御座いました」



「も…もう…いいですから。無事で良かった、です。あ、良かったら…お水どうぞ」



ニコニコとほんわかした笑顔で、私を恐がらせないためなのかはわからないが、ゆったりとした口調で話しかけてくるキツネ、もとい、世羅さん。


ついつい耳を凝視しそうになって、手に持っていたミネラルウォーターを差し出した(さっき背中にかけた残りだけど)。



「有難う御座います」



世羅さんはまたお礼を言って、私の手からそっとペットボトルを受け取った。

キャップはさっき外したままなので、そのまま飲める。