アヤカシとキツネさん

「どうも有難う御座いました」



「…い…いえ」



伏せていた身体をゆっくりと起こし、そのまま三つ指をついて礼をしたキツネ。


経験したことのない丁寧さでお礼を言われている――なんだか、むず痒い。



「あの……頭…上げて下さい」



未だに土下座の恰好をしたままのキツネに、なんて言えばいいのかわからなかったが、とりあえずそうお願いしてみた。


上体を起こすキツネ。


しゃん、と背筋を伸ばして正座をして――…


にっこりと微笑んだ。



「――…ッ…」



その顔がとても美しくて――


私は息を呑んだ。




やはり人間ではないのだと認識した瞬間――…



狐の嫁入りも終わっていた。



晴れた空が広がる。