「はい、どうぞ。
とりあえず入って。」


世間では“日陰”とは……

ホテルの一室を指すのでしょうか?

…しかも、見合い会場の
ホテルの一室って!!

しかも、割と
いい部屋じゃないの…

「…随分、用意周到だな。
コラ、柏木。」

ソファに座って、差し出された
炭酸水の注がれたグラスを受け取る。
冷たい炭酸が喉に気持ちいい。

「ああ、今朝、天の声が聞こえて。
いやぁ、首尾よく連れ込めたな(笑)」


そういって、隣に座る柏木君は、
愉しげにクツクツ笑っている。

「“天の声”って何だよ!?
あれか?誰か入れ知恵したのきゃっ!?」

キーッと噛み付けば
…また、かんでしまったよ。

「ああ。啓太のスマホから着信で、
出てみたら、“女帝が、レンちゃんを
半時間日光浴させれば、ほどよく
立ちくらみを起こすって言ってる。”
って、ご褒美の助言があった。」

…女帝…真月さんか?!

そこもグルかっ?!

収まりかけた眩暈が
再発するんですけど!!