その柏木は、本日、他部署の
先輩に同行で終日不在だ。
大した事はできないが、
不在中に、急ぎの用件がないか
卓上のメモを確認する。
「あっ。神島君、今手空いてる?
仕事頼んでいい?」
「はいっ。」
音村係長のデスクに呼ばれ
パソコンの前に座らされる。
画面と手元の資料について
説明を受ける。
要するに覚書の精査をするのか。
「そこ、画面スクロールして。」
「ここですか?」
「違う、反対。」
「えっ…?どこ?」
「残念。ここでした♪」
!!!
係長が、マウス操作中の俺の手に
自分の掌を重ねポインターを
誘導する。
「このファイル、開いてみて。」
・・・この人、何してんのっ!?
思わず、細くて長い指に
見惚れてしまう。
「神島くん?」
やばっ!仕事中だった!
「顔赤いよ。暑い?
そろそろ、エアコンいれようか。」
そういって
係長は空調のコントローラーを
操作する為に席を離れてしまった。



