『まあ、あれだ。』
リヒトは、肩をすくめる。
『オッサンくさい言い方だが
こういうのは、縁だ。
日本に戻った時には、レンは
陽一郎ではない他の誰かと
一緒にいるかも知れない。
でもそのときは、お前にも
他の誰かが現れるって事だ。』
嫌や――――
レンちゃんの隣は
俺の席や……
奥歯がギリッと音を立てる。
そんな運任せに身を委ねて
たまるか。
運は引き寄せるモノや。
…レンちゃんは
絶対誰にも渡したくない。
この遠く離れた空の下で
俺は、欲しいモノを得るために
何が出来るやろう?
何をしておくべきか…
“腹黒い”“計算高い”
“策士”俺をそう呼ぶ人間が
多い事は知っているが、
余計なお世話や。
やれる事は全部やる。
とにかく、絶対諦めない。
それだけは、絶対にしない。



