レンちゃんが、俺ら
個々の服装に、乱れがないか
チェックする。

正直、そこまで気遣うのかと
尋ねれば

“タヌキに与える隙なんざ
ほんのちょっともありゃしねぇ”

…っと、返ってきて(笑)


「よし。行こうか。」


まるで、レンちゃん自身に
言い聞かせる様に口にして、
歩みを進めた先は、会長室で。


「お待たせいたしました。
音村です。」


そう声をかければ
扉を開けた男性が
にこやかに入室を促す。


「『経営』の本年入社の
皆さんですね。お疲れ様です。
噂はかねがね…」


タヌキの秘書はキツネか……

ーーー誰から聞いとんねん。
…その噂…


内心毒つきながら
レンちゃんに続き入室し、
テルテルの合図に従い
ソファセットに着席した。