「俺、もう行きたいねんけど?」

相手に有無を云わさぬ様
告げれば、手は離してくれたが
口をパクパクさせている。

…告るとか、止めてくれよ。

「あのっ…わた…」

腹をくくったらしい
小声の呼び掛けをーーー

「コラ!!そこの1号!!
サボってんぢゃねぇよっ!!
ぶっとばすぞっ!!」

建物の反対側の角から
タイミングよく姿を見せた
愛しの上司の、よく通る声が、
完全にカキ消した。

ぷっ…(笑)

この女子には、申し訳ないけど…
サイコーのタイミングやな。

さすがは、レンちゃん。

そのままこちらに近づいた
彼女に、通りすがり様
いつもの紙筒で、頭を一発
はたかれる。

「まったく、お前はっ!
仕事中に何やってんだ。
行くよっ!」

・・・いつもより
キツメにいかれたな(笑)

これが、ヤキモチやったら
本領発揮するんやけどな。