【完】もう一度、音を愛す。








パチパチパチ。



いつの間にかそこには
お母さんも立って聴いていた。


二人とも笑顔で拍手してくれる。

私は感謝を込めてお辞儀をする。


その時の感覚は
両親のコンサートの真似事だったけれど。




「愛音、上手になったわね。」


「さすがママの子だ。」


「あら、あなたの子供でもあるわよ。」



・・・いつまでも新婚気分が
抜けていない二人だった。

今思うとバカ夫婦のよう。


けど、どんな大勢の観客よりも
この二人に褒められる方が
私は嬉しかったのだ。