『私、貴方のお母さんよ。』 掴んでいた腕の方から 声が聞こえる。 『えっ。』 僕はその方へ顔を向けた。 『おいでボウヤ。一緒に私のとこへ。幸せに暮らせるわよ。』 そこには 美しい女の人がいた。 黒髪で色白で 優しい瞳をしていた。 『貴方を生んだあと、私は死んでしまったの……』 そう美しい女の人は僕をみていった。 僕には そのとき その言葉しか 聞こえなかった。