『まるで、俺ら脱獄犯みてーだ。なんかどきどきするぜ!!』



元お兄ちゃんは
ほふく前進しながら
浮かれていた。



休日は
自衛隊の監視員も
すくなくて助かる。


『あそこに今日は泊まろう。』



広い敷地内のなかで
ねぐらを探していると


兄ちゃんが先のほうにあるボロい廃墟を
指差した。



『え〜〜〜〜』

『おっ、もしかして春元怖いのか〜〜』



えーって呟く春元に
兄ちゃんがすかさず
にやにやしながら
ちゃかした。


『ちげーし!!』
春元の意地っ張りな性格は母親似だ。