俺はこの声を知っている。


いつも聞いた様な声。


それが誰だか俺は知っている。


だけどその声の主の顔を思い出せない。


思い出そうとしても

頭が

脳が

過去と現実が

拒絶反応を起こす。


その先に負と言う負の全ての感情が一気に襲い掛かるから。


どうかこれが夢であって下さい。

どうかこれが現実でありませんように。

どうかこれが違うのだと思わせてください。


だけど現実と言うものは

とても非情で

とても残酷で

とても辛いもので

鳴き声はこの暗黒の空間に虚しく木霊するも

近づく救急車のサイレンにかき消されていった。