「やっぱり人いたよ
怪しいね…」

「んー、どうする?」

「どうしよっかな…」


「…梨梨ちゃ…ん」

梨梨の桃色のパーカーのすそを
引っ張り小さな声で言う狐狛(こはく)

「狐狛?どうしたの?」

「誰かの気配がする…
すっごく遠いけど…」

「どのくらい?」

「んっと…廃ビルの
前からだと思う」

狐狛は人の気配を敏感に
感じ取ることが出来る

梨梨たちのいる場所から
廃ビルまでは約200m

200mもの距離のものを
見ることが出来る梨梨。
“見る”ことが得意で
集中することで遠くのものを
はっきり見ることが出来る