愛希と七海はもちろん触れあう事はできない。

でも、
お互い笑顔だ。


俺はそんな姿を見てまたほっとした。



「七海?」


七海の母親が不思議そうに七海を見つめる。
父親も同じだ。



「なんでもない。それよりなんだか喉乾いちゃった。飲み物買ってきてくれたりする?」


「買ってきてやるぞ。母さん、行こう」


「分かったわ。じゃあ七海待っててね」


「うん、ありがと」



父親と母親はそう言って病室を出て行った。


「や、やっぱりお母さんもお父さんも樹君と愛希ちゃんの事見えてないね」


「まぁ幽霊だからな」


「だよ、ね」



そして沈黙。
やっぱり七海もこの状況を説明しにくいんだろう。

病気とかはプライベートの問題だし・・・。
出会ったばかりで幽霊の俺なんかに話すわけないと思う。


でも何か言わないと、とか思ってんだろうな。