「頑張った方が、多少マシな未来になりそうだから」
 

卑屈な考えを吸い取るような快活な笑みに、しばらく声を失った。
 


どんなに頑張っても、もう、ミーくんは私のものにはならない。
 

それは変えようのない事実だ。


「目標を成し遂げるまで何年でも待つから」なんて言って迫ったら、逆にミーくんの負担になることは分かってた。
 

だけど私は前にも進めず、後戻りもできない。
 

こんな気持ちを抱えたまま、生きていけるのかな。
 

……そう思っていたけど。





「マシな……未来」
 

口の中で繰り返すと、森川は首をかいた。


「まー頑張り方を間違えちゃ何にもなんないだろうけど」
 

ポケットに両手を突っ込んだまま、階段の最後の一段からぴょんと飛び降りて私を仰ぎ見る。



「だからさ、話、しようよ」

「……は?」