*ミーくんの好きなひと*





暗闇に沈んでは街灯にあぶり出され、自分の輪郭が浮き沈みする。

 

溶けちゃえばいい。
 
このまま夜の中に消えてしまいたい。
 


自信なんてひとつもないよ。
 
好きな人に好きになってもらえなきゃ、何の意味もないんだ。
 



涙をぼろぼろこぼしながら、走って、走って、足がもつれて派手に転んだ。





「痛……」
 

森川が貼ってくれた絆創膏のすぐ横に、新たな擦り傷が生まれて血が滲む。
 

傷だらけとか、ダサすぎ。
 



座り込んだまましばらく動けなかった。
 
街灯の光は遠く、触れたアスファルトは冷たい。




私の恋は終わっちゃうのかな。
 

ミーくんのいない日常……?
 

そんなの……
 




再び涙がこみ上げたとき、


「大丈夫?」
 


背後から掛けられたのは、穏やかな低い声だった。