「行かないよ」
 

憂えるような表情で。

でも、はっきりと言葉にする。



「あいつは関係ない」
 

あいつ……って。
 
突き放すような言い方なのに、人間関係が希薄な人が言うと、親しみさえこもってるように聞こえる。


「誰なの……?」
 

悲しい音で吐き出された『あいつ』。
 

写真に撮られていた彼女は、中学生のミーくんよりもいくつか年上に見えた。


「ミーくんの……好きな人?」
 

震える声に、返事はない。


「……付き合ってたの?」
 

答えを欲して見上げても、ミーくんは無言だった。

ただ寂しげな表情で、じっと私を見つめてる。
 

どうして何も言ってくれないの?


「その人のことが好きだから、私と別れるんでしょ」