「西野さんて、口、悪いんだね」

「……今頃気づいたの」

 


スピーカーからSHR開始を知らせるチャイムが鳴り響く。

 


あーあ、遅刻だ。
 



それでも森川はこの場に留まって、私の膝に丁寧に絆創膏を貼った。
 



その手は温かく、大きい。



「……」
 


しずくが落ちて、森川が顔を上げる。



「ど、どうした?」
 



戸惑っている彼の姿は、滲んで見えた。