隙間から見えた景色の中に、サッカーボールがひとつ転がっていた。 ころころと動いて、芝生の上で止まる。 けど、周辺に人影はない。 「な、なに?」 「あのボールどっから――」 ぽつぽつと疑問の声が零れ落ちたとき、 「見ーちゃった」 低い声が降ってきた。 まさしく頭上から。