*ミーくんの好きなひと*



「やだって!」
 

手足を思いきりばたつかせた。
 
泥が跳ね、一瞬、躊躇するも、彼女たちはすぐに体勢を立て直す。


「や――」
 

今度は誰かの手で口を覆われた。


「んんっ」 
 

不気味なほど無言な連中の真ん中で、自分だけ呼吸してるみたいだった。
 
そんな私を、携帯のカメラが機械的に捉えてる。
 

体を動かせないまま、ボタンが外されてブラがあらわになっていく。


「んー!」
 

そのとき、
 
集団の背後で、何か軽いものが跳ねる音がした。
 
ぎくりと肩を揺らしたチア部員たちが、一斉に振り返る。