「森川君、あんたに告白してから様子がおかしいんだよ」

「知んないよそんなの!」
 

私のせいでレギュラー外されたとか、見当違いもいいとこだ。

反論した途端、シャツの胸元を掴まれた。


「しらばっくれんな。きもいとか、彼を傷つけるようなこと言っただろ!」 
 

鬼の形相で睨まれて、唇を噛む。
 

それは確かに、言ったかもしれない。
 
けど、そんなんでレギュラー外されたと言われても。
 


胸倉を掴まれたまま相手を睨みつけていると、周りのチア部員たちもぽつぽつしゃべり始める。


「信じらんない。反省してないよこいつ」

「性格わるっ。自分で分かってないのかね?」

「こんな性格悪いやつ、どここがいいんだろ。外見に騙されて男ってホント馬鹿」
 

うるさい。

 
心の中でつぶやいて、無言を貫いた。
 
いろいろ反論したいところだけど、頭に血が上ってる連中には何を言っても無駄だ。
 

どうやってこの場を逃れようかと考えていると、


「前から気に入らなかったんだよ」
 

正面の女が不気味に目を細めた。