*嘘月とオオカミ先輩*



きっと先輩の彼女は、先輩をサクヤって呼ぶんだろう。

だから先輩は、あたしにもそう呼ばせたに過ぎない。



それを勘違いして――



急激に自分が恥ずかしくなった。


自惚れるにも程がある。



あたしは所詮、彼女の代わりに過ぎないのに。


そんなの、最初から分かってたことなのに。




込み上げてくる悲しみを必死で抑える。


ここで泣くなんておこがましい。




あたしには、その資格すらない―――