*嘘月とオオカミ先輩*




「いやいや待てよ。意味わかんねーよ。つかサクヤお前なんで黙ってたんだよ! 言えよ」



興奮気味にまくしたてる三條先輩に、隣のナナミさんが冷えた声を放つ。



「まったく気づきもしないあんたがバカなのよ」



鋭く切り捨てられ、顔を真っ赤に染めた三條先輩が反論する。



「はぁぁん? 何言ってんだよナナミ、お前だってサク――」



言いかけた三條先輩の長髪を掴み、ナナミさんは持っていた串揚げを掲げた。

そして――



「それ以上言ったらこの串ぶっさすよ」

「ひっ、や、やめろってバカ」



2人のやりとりに、周りの人たちが一斉に笑い声を上げる。






フロアに渦巻く笑みの中心で、

あたしはテーブルの下のサクヤ先輩の手をきつく握り締めた。