先輩は謝るあたしを不思議そうに見下ろす。 「なんで謝――って、泣いてる!?」 その声を遮るように背伸びをし、先輩の首に腕を回した。 合わさる頬から冷えた温度が伝わってくる。 「ハルカちゃん!?」 照明の届かないコート裏。 みんながすぐそこにいるけれど、構わずに、 「ごめんなさい、サクヤ」 腕に力を込めて、愛しい人を思い切り抱きしめた。 ――もう、大丈夫です。