*嘘月とオオカミ先輩*



「わかった」とか「ありがとう」だとか、何か聞き取れないほどの小さな言葉を残して、ナナミさんはベンチを離れた。

そのまま、彼女の影はふらふらと公園を出て行く。
 


先輩はただ静かに見送っている。

 

薄鈍のビルに切り取られた夜空を見上げ、一息つくと、先輩はゆっくり立ち上がった。

そしてポケットから携帯を取り出し耳に当てる。



次の瞬間、あたしのカバンから着信音が流れ出す。
 

びくりと体を揺らし、こちらを振り返る愛しい影。



「うぉぉわっ」
 


低い叫びが一瞬公園内を走り抜けた。