*嘘月とオオカミ先輩*




「……けど、ごめん」

「え……」




先輩の言葉に、ナナミさんの肩が震える。



辺りからすべての音が消え去って、

すべてのものが先輩の声に耳を傾けているみたいだった。



薄鈍色のビルも、紺瑠璃の夜空も、公園のモニュメントも、


そして、あたしも。



響く、愛しい声に、







「オレ今、すっげー好きな子がいんの」



「……」







ほどけ落ちる――