「サク……さ、彼女と別れたんでしょ?」 「ん? あー…うーん…まぁ」 同期の仲間が作り出す和やかさから一転、ベンチには男女間の艶かしさを予感させる張り詰めた空気が漂い始める。 「なにその歯切れの悪さ。ホントは別れてないの?」 「いや、別れたよ。つか、それがどうかした? あ、ざまぁとか思ってんだろ」 灌木(かんぼく)の陰で様子を伺いながら、やっぱりこれはナナミさんによる愛の告白なのだと確信した。 どうにかして阻止したい。けど――