*嘘月とオオカミ先輩*



ビルに囲まれた公園には遊具もなく、何かのモニュメントと数基のベンチが設置されているだけで、どことなく寒々しい風景が広がっている。

 
コンクリートの壁に覆われた冷たい空間。

それはまるで都会の牢獄のようで。
 

ベンチに佇む2つの影は、お互いの体温を求め合っている恋人同士みたい。
 



そして、



「ねぇ、サク……」



ナナミさんがゆっくりと言葉を紡ぎ始める。