背をかがめた三條先輩が、あたしの耳に口を寄せ、囁いてくる。



「ツッキー、ナナミのことは内緒だよ」



そう言うと、長髪のこの先輩は至近距離でにっこり笑った。

その向こうに、夜の闇を背負ったサクヤ先輩の戸惑った顔が見えて、



「三條、お前、何やってんだよ」



眉間に皺を寄せて、サクヤ先輩は三條先輩の肩を掴んだ。

そのままあたしから引き剥がすように引っ張る。



「おっとと、別にサクヤには関係ねーし。なー、ツッキー」



そう言いながらウィンクをしてくる三條先輩。

明らかにサクヤ先輩を除け者にして楽しんでいる様相だけれど、あたしは曖昧にうなずくことしかできなかった。