*嘘月とオオカミ先輩*




「買ってあげよっか?」



そんな小さなぬいぐるみ。千円もしないで買えてしまう。


元カノにねだられてたブランド物のバッグなんかに比べれば、財布への打撃は皆無と言っていい。

けれど、 オレがそう口にすると、月島はいつも不機嫌な顔になる。



「……いりません」



手のひらのクマを元の位置に戻し、売り場を離れる。

慌てて後に続くと、彼女は小さく息を吐き、静かにオレを見上げた。