「フィフティーン・オール」 得点をコールしてから、サーブの体勢に入った同じ3年の本橋七海(もとはし ななみ)に目を移す。 パコーン! 小気味いい乾いた音とともに相手コートへと跳ねていくテニスボール。 「サーティ(30)−フィフティーン(15)」 左手を掲げて声を上げたとき、ふとコートの向こう側が目に入った。