「フィフティーン(15)−ラブ(0)」


背もたれの付いた審判台は小さな子供の椅子を思い出させる。

周りより若干高いその場所に座り、コートを行き交う黄色の塊を目で追った。


10月も終わりに差し掛かり、風がだいぶ冷たくなってきた。


何よりオレにとっては、夏の間、照明周辺を跋扈(ばっこ)していた大嫌いな蛾の群れが姿を消したということが喜ばしい。