涙でぐしゃぐしゃになった視界。

気付いたら、先輩の腕に包まれていた。


久しぶりに感じる愛しい匂いが、あたしを溶かしていくみたい。


涙がどんどん溢れて先輩の服に染みこんでしまうけど、それさえも自分の証であるように。

あたしの跡をいっぱい残すように――



「嘘つきだな……」



ふと低い声が耳元をくすぐった。

クスリと笑いながら、サクヤ先輩が優しく呟く。