*嘘月とオオカミ先輩*



先輩の声が、

目線が、

あたしをまっすぐ貫いていく。



「だからオレは、本気なのがバレないように――」

「ま、待ってください」



先輩の胸に手を当てて、押しのけるように力を入れた。



頭が混乱する。

先輩は、本当は彼女とは別れてて、あたしだけを見ていてくれてたの?



でも――



「名前……呼んでたじゃないですか」