*嘘月とオオカミ先輩*




「そういうことなんで、今後ともよろしくお願いします。センパイ」



挑戦的な笑顔を浮かべると、コウキはあたしの肩を抱いて先輩の隣をすり抜けようとした。



その瞬間、


あたしの腕が、先輩の大きな手に捕らえられる。



え――



と思った時には先輩は駆け出していて、あたしは引きずられるように夜道を走った。



「あ、こら、待てよ!」



背中にコウキの声を聞きながら、先輩は闇に紛れるように角を折れた。